キリスト教礼拝の歴史はさまざまに記述されていますが、本書はそれを、人物やその思想を通して描き出すユニークな試みです。実際に行われた礼拝改革や式文などを通し、その人を近付ける工夫がなされていますが、単なる人物伝ではありません。項目ごとに本格的な礼拝神学が展開され、時代ごとに複数の人物が選ばれています。使徒教父の時代に始まり、クリュニー修道院やシトー会、ウェスレー兄弟などや「リマ式文」に至るまで26項目が挙げられ、私は「ヒム・エクスプロージョンとそれ以後の賛美歌作家たち―レン、ダウ、ベルらの活躍―」を担当しました。彼らに共通する式文も祈祷文もありませんし、教派も異なりますが、それぞれの賛美歌創作の背景や作品を通し、礼拝との接点が浮き彫りにできればと思います。「礼拝史」のひとコマに賛美歌作家が登場した稀な著書です。